様々な疑問に役に立つ情報をお伝えします。
法人成りした年の確定申告
法人成りをした場合に、12月に個人事業を廃し、1月から法人として事業を開始した会社は問題がないのですが、年の途中で行ったときは注意が必要です。
廃業届を提出して、事業はすべて法人に移したとしても、申告・納税も法人で行うだけにはなりません。
たとえば、1月に個人事業を廃業し、2月から法人として事業を引き継いだ場合、たった1カ月でも翌年の3月には、1カ月分の事業所得を含めた確定申告書を税務署へ提出する必要があるのです。
予定納税制度とは
予定納税とは、簡単な言葉でいうと税金の前払いをする制度のことです。
所得税なら15万円以上、消費税なら48万円以上(地方税を除く)の納税が出た翌年は、予定納税をしなくてはならなくなります。
前年度の所得税額が一定金額を超えた方を対象に、その年の所得税の一部をあらかじめ納付する制度です。
納税者側から見ると、1年分の納税額を分割して支払うことができ、納税にかかる負担を減らすことができます。
一方、徴収者側としては税金の収納リスクを軽減することが可能であり、納税者と徴収者双方にメリットがある制度です。
消費税や法人税でも、その年の税額の一部をあらかじめ納付する制度が存在します。
対象者には税務署から6月15日までに通知書が届きます。
通知書を受け取った場合は原則として納税する必要があります。
予定納税は年2回です。
予定納税基準額の3分の1に相当する金額を、第1期分として7月31日まで、第2期分として11月30日までに納付するかたちです。
なお、予定納税として支払う金額は、減額申請をすることにより軽減することができます。
業績悪化や廃業などで、その年の6月30日現在での所得税見積額が予定納税基準額を下回る場合、予定納税の減額申請をし、税務署で認められれば減額されます。
廃業した個人自称主で予定納税をしていた場合
法人成りをして個人事業を廃業した事業主で、個人事業を行っていたときに、一定の所得税を納税していた場合には注意が必要です。
すでに法人成りして個人事業を廃業したにもかかわらず、予定納税の要件を満たしてしまうと、税務署から納付の案内が届いてしまう場合があるからです。
そのまま予定納税しても還付で戻ってきます。
納付しても損はしませんが、翌年3月の確定申告では、年の途中で個人事業を廃業し、前年並みの納税はありませんので、本来は前払いする必要はない税金です。
これについては、7月15日(または11月15日)までに、「所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書」を提出することで、その前払いを防ぐことができます。
まとめ
年度の途中で法人成りをした場合には、予定納税をしている場合には注意が必要です。
予定納税の減額申請書を早めに準備するなど、対応をしておくようにしましょう。